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「おい」
「何さ」
「何でフツーに入れんだよ」
「俺、神様だから」
いや、その考え間違ってるって。お前、普通に人間だから。まあ、こんだけ楽して入れたことだけ良かったと思っておいて、後はこっから先だよな。
「はい、コレ」
「何だコレ」
渡されたのは、
「赤外線付き暗視ゴーグル」
待てよ? この流れからすると、まさか暗いところを進むカンジか?
止めろよ? 止めてくれよ?
「兄さんは、この先だから」
「・・・」
そしてオレは、イルと共に暗所を進みだした。つかさ、目ぇ悪くなるぞコレ。

ガションガション
「あのー」
「ん?あ、あぁ大丈夫だぞ!」
素敵に重そうですけど。
「というか、コレは遊んでるだけだぞ?」
「そうですか――――――・・・・・っておいぃっ!!!!!!!!!!!」
さっき、ハルに会ってからいろいろ見せてもらって早20分経過。
そろそろ行かないと間に合わないと思うんだけど。
「さ、行くか」
そう言って元の服装に戻ったハルが、倉庫を出て僕を呼び、細く入り組んだ路地にある「出」という文字をデカデカと筆か何かで書いてあるドアを睨み、
「神創造出入口 OPEN」
暗号らしき言葉を並べた。ドアは不気味な音を立て開き、中の通路の明かりがぼんやりと燈った。中へ入った僕は、「雪の人」を右手へ。ハルは、同じ型の銃「永遠」を握る。
「こっちは手強いぞ」
「大丈夫だよ。僕らはきっと死なないから」
「だろうな」
そうして進んでいくと、何かが吹っ飛んできた。ソレは、ハルが受け止めて何とかなった。でも、飛んできた何かは、
「イルじゃねえか!!!」
「え?」
イルは気絶して、ハルはイルを懐かしげに抱きかかえている。
どうやら、2人は知り合いらしい。そんな2人の足元に散らばっている、かつて人間だったものの千切れた腕や足、抉られた内臓や脳みそ、喰いちぎられたかの様な耳や鼻が無数に散らばっていた。それに気づいたハルは、イルをしっかり抱え
「レキの相棒とやらはピンチか」
「どうだろうね」
クスリと笑う僕をハルは訝しげに見た。仁義=リョク。彼女が昔人々から呼ばれていた名前は、

『嘆きのサラ』

ユーラシア大陸の東の端に、アシュレ王国があった。その国は、アシュレ王が統治している国だった。アシュレ王は、若干38歳という若さでこの世を去った。その時、国を統べていた者の名は、哀=サラだった。
サラは、アシュレの実子でありとても頭の良い姫君だった。けれど、サラによる平和を詠う政治も一部の人々から蔑まれるようになった。
サラの政治を愛していた人々も、いつしか少なくなり、サラはいつしか人々から『嘆きのサラ』と呼ばれていた。
まあ、おいおいその話はするとして。今は、今のことを先決とするよ。
先に進まない限り何も始まらないのだろうし。せっかく少ないながらもパーティーが組めそうなんだから。これは、ある種のお祭りだね。
「イル、起きてるなら自分の足で歩きなよ」
「バレてら」
ハルは、イルを降ろした。するとイルは、上着のポケットからTT33拳銃を二挺出し、
「リョクが、危ないんだ!」
切羽詰った様に言い、僕に走れと促している。ハルも同じ様にして、一向に動こうとしない僕を見捨て二人は先へ進んでいく。
そんなに焦らなくてもリョクなら平気だよ。だって信じてるから。
僕が付けた名前が、彼女を守っているから。

「キミには、何の利益もないのだけれど・・・・・そうだね推古=レキをおびき寄せるエサにはなるだろうか」
目の前で、言葉を吐き捨てるイルの兄貴、研=デルの左側には雑草頭野郎が。右側には絶世の美女とも言える女が陣取っている。
「うっせーんだよ!!!!」
「やーん。こっわーい♪でも、超イィッ」
「M女は黙ってんだ。コイツは、俺がヤんだよ」
「えぇー。じゃあアタシはどうすればいーってゆーのー?」
コイツ等うるせえ。俺は、「業火」を鞘から抜いて望通り雑草頭へ炎を向けた。でもその炎は水の攻撃によって防御された。
「そーいや、アンタどっかで見たことあんだよな」
ないない。あるはずねえって。
「アシュレ国の姫君に似てんのか」
オレは、「アシュレ国」という言葉を聞いて、我を失いそうになった。
でも、大丈夫。名前がオレを守ってくれているんだ。
「業火」を構え雑草頭に
「オレは、仁義=リョクだ。アンタは!?」
「俺は、吟遊師の破=メツ。お手柔らかに」
メツとオレの戦闘を始めようとした時、
「やぁーん、推古=レキだしぃー。もぅ、アタシはアナタのト・リ・コ」
女が、入り口の所でデカイ男とイルと一緒にいるレキを見つめている。レキは、オレへ言葉を投げる。
「名前を捨てるなよ、馬鹿リョク」
「分かってる」

リョクは、雑草頭の人と戦いを始めた。僕は、絶世のM女に目を付けられているし、ハルとイルはデルと睨みあっているし。何か凄く嫌な予感がする。
「ハル、イルを連れて外へ出て」
「な、何言ってんだ!?」
キミ達の命まで守れる自身はない。
「大丈夫だよ。僕に勝てる奴なんていないから」
そう言った僕の目には、ついさっきまで宿っていた明るさは消え残虐者の闇が覆った。僕は、2人が外へ向かうのを見届けて女の所へ向かい、一礼をし
「貴女の名前を教えて頂きたく存じます」
「アタシ、呪=ソウ。言葉士なのぉ」
なら、僕は一旦『夢追い人』という表役職名も『殺し屋』という裏役職名も捨てて、師匠から教えて貰った呪術を使う『詠歌師』になろう。
さて、キミは、いくつも職業を持つ僕に勝てるかな・・・?
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いくつも職業を持つ僕を倒せたら、キミを称えてあげようか。
そんな事を考えていると攻撃は、僕は彼女の攻撃対象になってしまっているらしく・・・言葉師の呪=ソウは何か短い攻撃の言葉を言った。
すると、僕へ向けてのんびりと水が向かってくるではないか。
「葉よ 剣となりて 僕を護れ」
僕の攻撃は歌を基調としている。僕の歌によって攻撃が可能となった、木の葉は幾重にも重なって水をこちらへ流れさせない様にしてる。
「烈」
ソウは、炎攻撃を向ける。僕は、彼女の繰り出した炎攻撃と同じ系列の攻撃を詠う。
「炎よ 灼熱の痛みで 全てを暴け」
ソウの放った炎が僕の周りを囲み、僕の歌はソウの身体を焼き尽くそうとしている。ソウは、呻き声を上げつつも喜んでいるらしい。
さすが・・・・・・M女というか何というか。
「風よ 荒れ狂う獣の如く 吠えろ」
風は、僕を取り囲む炎の威力を下げた。すると、僕からの攻撃を何とか止める事が出来たソウは、
「やんやんやんやぁーんっ。もぉ、いったぁーいんっ」
何だろう。この生き物は。不思議未知生命体かな。でも、その言葉を堺にして彼女の目つきは変わった。
「でっもぉ。アタシ、アナタに勝ったら格があがると思うわけぇ~。だ・か・ら半殺しにしちゃぅっ」
半殺しか。それなら・・・。僕は、彼女へいつもの微笑みを掛ける。
「半殺しなんて中途半端な事しないで本気でやろうよ。僕もキミの事知りたい」
「やぁーんっ。そんな事言われたらアタシ、マジになっちゃうっ」
頬を赤くしているソウとは逆に僕は「雪の人」を右手に置き、一発彼女へ向けて放つ。銃弾は、彼女の右をすり抜け、後ろで呆然と立っているデルの右腕をかすった。
「言い忘れてたけど、僕手加減出来ないから」
「やぁーんっ。もうこんな事しなくていいなら、マジ惚れるしぃー」
僕とソウは、攻撃が最も高い確率で当たる距離を取って5分間の休息を取る事にした。だって疲れるから。そういう所の意見だけは、ぴったり合ったからね。でも、彼女は僕の側まで寄ってきて耳元で小声で言う。
「アタシ、ホントは攻撃する気ないんだっ♪」
「錯乱攻撃でもするつもりなの、キミ」
「アタシィ~、昔の職業が今のアナタと一緒なのぉ~」
僕は、「雪の人」を即座にホルスターにしまい、
「じゃあキミの負けでいいの?」
「いぃわぁ~。えっとぉ、外に向かってるイル様の援護したいけどいーぃ?」
「彼等を殺しでもしたらキミを三枚おろしにするからね?」
ソウは、立ち上がりヒラヒラと手を振ってデルを睨みつけ
「アタシィ~、この件から手ぇ引くから。そこんとこ、ヨ・ロ・シ・ク☆」
するとデルは、静かに
「呪=ソウ、貴女も低脳な糞人間と大差なかったというわけですか。推古=レキに勝てなかったのなら、好きにしなさい。もう貴女には何の魅力も感じませんので」
「ばいばぁ~ぃんっ」
ソウは、小走りに部屋を出て行った。そして僕は、立ち上がりデルの左腕を掠めるようにして銃弾を放つ。
「少し待って頂けないだろうか。彼等に決着が着いてから話をしたいのだよ」
「それは、全然構わないよ」
僕とデルは、交戦中だろうと思われる2人を見た。でも、そこに姿はない。おそらく、リョクの相手になった破=メツは吟遊師だったのだろう。
あの職業は中々厄介だから。大丈夫かな。

今から20分前
オレは破=メツという男の能力によって作り出されたフィールドに連れて行かれた。
「ココがな、俺のバトルフィールドっつーわけだ」
「へぇ。アンタ、そんな能力者なんだ?」
ニヤニヤ笑うオレに、メツは少しキレながら言う。
「はっ。くっだらねえ事言ってると痛い目ぇ見るぜえ、おじょーさん」
気づいてたっていう話? まあ、気づかれたとしてオレの態度が変わるわけでも・・・・・ああ、多少変わるか・・?
って、オレ何一人で自問自答してんだっての。さてと、どういう攻撃を仕掛けてくるのかが気になる。
「互いに手加減は無しっつーことで」
と言ったメツは、手にヴァイオリンを手にしていた。おいおい、いつの間にそんなもん出してんだよ・・・。
「きっ、汚ねえぞテメー!!!!」
「バトルの汚いもクソもあるか。お前馬鹿・・・?」
「うるせえっ!!!」
「おーおー、口悪いねえ。そんなんじゃ、怒られんじゃねー?」
黙れ、下種野郎。お前なんかに構ってるヒマがあるなら、オレは女の子と遊ぶってのにー!!!!!! とまあ、冗談はそこそこにしておいて真面目に戦おうかな。向こうで、誰かさんが待ってる事だし?
オレは、「業火」を構えた。メツは、ヴァイオリンを構え、
『攻撃のワルツ』
ヴァイオリンの音と共に強風がオレに襲い掛かる。
「っ・・・」
こんな時に限って、風攻撃とはオレも不幸だなあ。強風に煽られながら、「業火」の刃をサッと撫で
『焔』
と言うと刃が炎に変わり、オレはメツへ突っ込む。けれど攻撃は、意図も簡単にかわされ続ける。どうしてこう・・・レキみたく上手く出来ないもんか・・・。これじゃあ、魔剣士の名が廃る・・・。今まで明かさなかったけど、オレは一応、表職業で魔剣士。裏職業はまだ秘密ってーことで。
「こんな始末になるなら、もっと早く殺すべきだったか」
ああ、オレの人生これで終わりなのか。いや・・・ん?
「・・・・ゲ。てめっ・・・何しやがっ!!!」
メツはヴァイオリンを手にしたまま俺の服を脱がしに掛かってくる。
「中身は、女ならこうした方が早いんじゃねえかと」
ギャ――――――――――――――――――――!!!!!
オレの命、危うし。空間が乱れ始めると、変態野郎は、
「おっと・・ここまでか。現実に戻るぞ」
「早く離せえっ!!!!!!!」
オレの腕を引いて空間から現実へ戻った。そこには、呑気にお茶を飲んでいるレキとデルがいた。お前等、敵同士で何してんだよ。
「さすが、推古=レキですね」
「いやあ、それほどでも。というか、吟遊師の大抵は現実世界で仲間の誰かがお茶とかお菓子とか食べながら休息を取るとね、フィールドを消す習性が―――・・・」
どうして僕は、口を押さえられてるのかな。しかも破=メツさんに。いや、メツくんかな?
「どうして、俺の邪魔すんだ・・・貴様あ!!」
「いやいや、僕というか。どっちかっつーとデルだよねえ・・」
「そうですねえ。それにもう物事は解決したのですよ、メツ」
『は・・・・?』
あ、リョクとメツさんの動きが止まった。和やかにお茶を啜る僕にはリョクが、デルにはメツさんが突っかかった。それも絶妙のタイミングで。
「レキ、貴様何してんだああああああっ!!!!!」
「デル、テメエ何馬鹿な事考えてんだああああっ!!!!」
「全てを話せと言われたので、全てを話してこうなったのです」
「あはは・・」
苦笑いする僕に微妙に痛い視線が向けられる。
それというのも、リョクとメツさんが別のフィールドで戦ってる最中に―

「ねえ、デルゥ」
「そんな気安く私の名前を呼べる立場じゃないでしょう、貴方は」
うん。まあ、そうだと思うんだけど。
「僕、気が長い訳でも短い訳でもないから。さっさと洗いざらい全部話しちゃおうよ」
するとデルは、簡易コップと簡易お茶パックを二人分持ってきて、簡易ポットのお湯を注ぐ。
「長い話にはならないですけど、一応お茶でも・・・」
以外にまめなんですね。ってちっがあああああああああう!!!!
「・・・・」
「あ、毒とか入ってないですから」
簡易コップをまじまじと眺めている僕に溜息をついてデルは笑った。この人、笑えるんだと正直思った。だって民間人の人が恐ろしいとか言っていたし、それにイルに「殺して!」とか言われたなあ・・・・。
「一気に話しますので、聞きそびれない様に願いますよ」
「え、あ、うん。任せて」
僕は簡易コップに注がれたお茶を一口飲んで、デルの話に耳を傾ける。
「私は今から4年前、別の国からこのコート国へ移住しました。御存知かと思いますが、この国は昔、闘いの好きな者達が集う国でした。それを食い止めるようにと私は、第四研究所所長として派遣されたのです。しかし、この国の人々は私の言葉を信じてはくれませんでした。困り果てた私は、実の弟である研=イルを人々に神だと伝えました。そう言えば、闘う事を止めると思ったからです。イルも、その考えに従ってくれました。ただ、その時の私はイルに睡眠薬を飲ませ、記憶操作を行いました。そうするしか無かったのです。そうでないと、イルは本当の意味で神にはなりえないのですから。そして、私は悪役に回る事となったのです。それが、現段階でのこの国と私たち研究所の者達の事です」
デルは、苦笑した。僕は、彼の話をゆっくり解釈してお茶を飲み終えた。
「つまり、キミは国の人々から嫌われ役を買って、弟のイルにまで嫌われるようになった・・・って事になるの?」
「はい」
お茶を飲み終えたデルは、立ち上がる。それにつられて僕も立ち上がった。
「そろそろ帰って来るかな」

それがリョクとメツさんがフィールド内からこっちへ戻ってくるまでに繰り広げられていた会話。
「ともかく、僕らは敵じゃないっていう話・・・かな」
「ヨロシクな、お2人サンと言いたい所だが、俺たちへ奇襲らしいぜ」
メツが何かこちらへ向かって走ってくる者達の足音を聞いて身構えた。
僕はとリョクは、デルの両側について、メツさんが前でバイオリンを構える。そして足音の犯人は、外へ向かったはずの呪=ソウと壊=ハルに研=イルだった。しかも3人は、「ギャ――――!!!!」と叫びながら僕達へ向かってくる。するとデルが「まさか・・・」と言った。
「民間人が・・気づいてしまったのかもしれません・・・・っ!!!!」
それは、イルが神様じゃない事とデルが実は悪人じゃなくて善人だった事と・・・それから。というか、このパターンでいくなら戦える者は民間人を殺さないようにしながら、この国に逃げないとならない・・・のかな。
「僕とリョクは、最後に出るから2人は先にあの逃げてる人達連れて国の外へ逃げてくれる?」
「任せるぞ」
「ご迷惑をお掛けします・・」
メツさんとデルは、デルの研究室から出て逃げ惑うイル達を掻っ攫って研究所の外へ出て行く。そして僕とリョクも研究室から出る。
そこには、凶器を持った民間人が僕達を待ち構えていた。
「接近戦は、任せる」
「お前は精々キレんなよっ!!」
「甘く見ないでくれるかなっ、仁義=リョク!!!」
僕は彼等の間をすり抜けながら、二二口径自動式銃「雪の人」で、襲い掛かる民間人の急所へ弾丸を撃ち込む。
「残り何人だ!!!!!!」
「んー・・50人かなあ?」
1人ずつ着実に倒しているリョクが僕の背へ言葉をぶつける。
「オレは大丈夫だけど、お前やっぱりキレてくれ!!!!!!!!!!!」
「了解。じゃぁ、また後で」
僕の右手は軽やかにリズムを取り出した。この国から逃れるためと・・・珍しく人を守るためという事実から。
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