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服を取りに帰る。
その言葉が何を示しているのか自分でも分かってる。
それはつまり、セントラル国へ行くという事柄。
リョクは、分かってるんだか分かってないんだか・・・。
というか、さっきからブツブツ何か言ってるみたいで怪しい。
僕ってば何かしたかな・・・・?
ともかく後で適当に謝る方が良いのかな。
「お?おぉ?ここがセントラルかあっ!!!」
東ゲート前に、先にバイクを止めたリョクが何だか嬉しそうに言った。
その横でバイクを止めた僕は、ゲート前にいるゲート番の人へ
「身分証ないけど・・・いーよね?」
と言うと、
「駄目ですよぅ・・・あ、でも名前言ってくれりゃあ・・」
かなり適当な事を言いつつ、ゲート番はメモ帳とボールペンを取り出した。
「推古=レキ」
「仁義=リョク☆」
「すいこ・・・・・れきっと。って!!!!お帰りになられたんですか!?」
ゲート番は慌てた様子で緩めていたネクタイを締め直して、ゲートを開けてくれた。
「一時帰国。母さんに用事かな。じゃあ、お仕事頑張って下さいね」
「お言葉有り難うございました!!!!」
僕はゲート番に手を振り、先に国内へ入っているリョクの後を追った。
でも、そのリョクは国の様子を見てポカーンとしてる。
それというのも、今は朝だから人もあまりいないからっていうのと、初夏とは思えない冷たい風が吹いていたからだけど、こんな所でじっとしてても何の意味もないから、僕はリョクの乗るバイクの前へ自分のバイクを進ませて、先導した。
何処って?
そんなの僕の家に決まってるじゃないか。
それはともかくとして、今の僕達の姿はあまり人様に見せたくないからね。何てったって、全身びしょ濡れだから。
「こっちだよ、リョク」
「おうっ!」
東ゲートを一直線にかなり進んだ頃、右にある細くなった脇道へ入る。
次は左、右、右、右、左の順番で角を迷路の如く曲がりながら進んでいくと大きな家が立ち並ぶ通りに着いた。
その中でも三番目くらいに大きい真っ白な家が目に止まる。
その家は、家と同じくらいの洋風のシメントリーを基調にした庭に小さな池があり、その庭で二匹の犬が楽しそうに走り回って、それを見守りつつ鮮やかな花々に水を差している女がこちらに気づいて微笑んだ。
その女は、ウェーブの掛かった桃色の髪を腰まで伸ばし、瑞々しい肌に生える紫の眼と薄い桃色の唇をしていた。
こうやって表現すると、僕の隣にいる馬鹿とは正反対だよ・・・。
「すげーな・・・この家」
「そ・・そうだね・・」
リョクは、その家をじっと見ている。
対照的に僕は、溜息をついてる。
「♪ アラッ・・・・・キャアアアアアッ!!!」
白い家の女が甲高い声を上げて、リョクが家へ侵入した。
それを僕は放って、その家の玄関へトコトコと二台のバイクを押して歩く。
「おかえりなさいませ」
「う、うん」
ああ・・・・・本当にもうイヤだ。
家の中へ入ると、リョクがさっきの女に抱きつかれ、ある意味凄い光景が広がっていた。
何も見なかった事にしようとばかりに、僕は庭で遊んでいる犬の方へ行こうとすると、
「レキちゃ―――――――――――――――んっ!」
「クソレキィッ!!!!!!!!」
うん。
キミ達愉快だよ。
って、レキちゃんは止めて。
レキちゃんは。
「母さん、僕の服どこにあんの?部屋に置きっぱなし?」
「うん。お部屋だけど、その前にお風呂ねっ。それと新しい服はクロゼットにあるからねっ」
「ありがと。それから、ソイツ一応客人だから」
ソイツと言って、僕は馬鹿を指差して、リビングと庭を繋ぐバルコニーから家へ入った。
ここは本当に僕に不似合いだけど、冗談抜きで僕の家。
殺し屋だけど、表社会では超エリート家族として見られてるみたい。
理由は・・・まあ・・そのうち。
ともかくとして、僕は広いリビングを二匹の犬と共に通り、脱衣所で服を脱ぎ捨て風呂へ入った。
あ、服取ってくるの忘れた・・・。
まあ・・いっか。
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「あ、あの」
「うーん。こんな可愛い子がどうして男の子の格好してるのか私には理解不能だわあ」
レキが風呂へ行ってから、オレは何故かレキの母さんにじっと顔を見られてる。
「あっ!分かったわ!隠し味なのねっ!そうじゃなきゃ可笑しいものねっ!」
う゛わ・・・一人で解決しちゃったよ、この人。
ガチャッ
そう思って溜息をついたオレの耳は、ドアが開く音を聞き逃した。
「あらあらレキちゃん。女の子のいる所でその格好はダメよ」
その格好?
疑問に思ったオレは、後ろを向いた。
そこには風呂から上がったばかりの、レキの姿があった。
でも、腰にタオルを巻いて、もう一枚のタオルで髪を乾かしているその姿を直視したオレの顔は急激に熱くなる。
「服忘れたから」
「じゃあ取ってきてあげるわねっ!」
レキの母さんは、そそくさとリビングからいなくなって、ほぼ全裸状態のレキは、ソファに腰掛けているオレに後ろから近寄り、
「リョクも入ってきなよ」
と言う。
「そ、そうだな!」
声が裏返って変な声になった。するとレキは、立ち上がって横を通り過ぎようとしたオレの腕を掴んで
「一緒に入ってやろっか?」
・・・
「なっ!!!!!!!!!!!?」
オレは、ニヒヒッと笑うレキの手を振り解き脱衣所へ逃げ込んだ。
何なんだよ!!
アイツ、最近変っ!!
それに・・・それにあんな格好すんなああああああああああああっ!!!


あー、面白い。
リョクって本当に面白いよね。
「母さん、服―・・」
「はぁーい」
上の階からリビングにいる僕の足元へ服が落ちてきた。
「レキちゃん、お洋服何処で着替えるの?リョクちゃん、お風呂でしょう?」
しまった・・・。
「じゃあ母さん、お買い物してくるねっ!」
「ヨロシク」
母さんは、バルコニーから庭へ出て執事サンに門を開けて貰って買い物へ出かけた。それを見送ってから僕は、着替えを始めた。

十分後
これから暑くなる地域へ行くとはいえ、身軽だなあ・・・。
半袖の黒いパーカーに青い炎が描かれている服を着て、中に黒の半袖。
ズボンは、動きやすさを重視されたデニム。
それの裾を高さの低いブーツに入れて、手には指先が開いた手袋を両手にはめて、左手首に革製のリストバンド。
それから、黒のキャスケットと新しいゴーグルに、僕の好きなメーカーのネックレス。
ゴーグルとキャスケットはしないけど、身支度完了。
後はリョクを待つのみ。
そろそろ一時間。
待つことに疲れはしないけど、女の子ってこんなに風呂長いんだ・・・・。
すると脱衣所の扉が開いて
「すっきりしたあっ!ってレキその格好・・」
「あーうん。南へ行くからね」
適当に返すとリョクは自分の着ているシャツを引っ張って
「・・・」
何か言おうとして止めた。
そこへ母さんが帰って来て言う。
「行ってらっしゃい。あとで来るのよね?」
「もちろん。またね、母さん」
「またねっ!」
僕達は、日照る外へ出た。
「ユートラル国って涼しいんだなぁ・・・・セントラルって暑い・・」
「夏だから」
「お前はそんな格好だからだろーがあっ!!!」
「まあね。キミは少しの間我慢だよ」
「ズ―――ル―――イ―――」
リョクは僕の顔をつねって、何やらブーブー言って、何かを思い出したかの様に
「腹いっぱい食ってねえっ!!!!」
「気のせいだよ。気のせい」
僕は、バイクに跨り新品のゴーグルをリョクに投げつけ、自分は使い古したゴーグルを着け、エンジンを掛けた。
「コレ・・・」
「それ使いなよ!!!僕は、リョクのボロボロのやつでいいから!!」
と僕が言うと、リョクは嬉しそうに頷いてゴーグルをはめた。
それを見て僕は、バイクの前輪をユートラル国へ向けた。
結論でも見に行かないとねっ♪
バイクを飛ばしてユートラル国西ゲートへ着くと、ロキ・シェル・セナの三人が僕達を待っていた。
そこへバイクをリョクより先に国内へバイクを滑り込ませた僕の格好を見て、ロキとシェルは「やられた・・・」という顔をしているけど、セナはただただ無言で寂しく微笑んだ。
その笑顔が心に何かを突き刺した気がした。
「レッキィ――――――!!パパは探したぞぅ!?言うまでも無いけど、それは夏ヴァージョンッ!!!!!!!!」
抱きつこうとしたロキを片手で取り押さえて、空いている左手を鳩尾へ入れる。
「気持ちが悪い」
「ふぎぃー」
ロキは、リョクによってポイッとゲート外へ放り出そうとしてるのを抵抗しているが、それは無意味になりそうだなー・・・と思いつつ、僕は暇そうにしているシェルに、
「結局どうなったの?」
「願望=スウキ殿に直接電話して、理由を聞いて貿易を改正する事になった。つーまーり、お前は用なしっつーわけ。だから、遠慮なくセントラルに行けえっ!!!!!」
シェルは、いつもの口調を保ちつつ僕の背を軽く押し、
「何かあったら連絡しろよ」
と言った。
「分かった。じゃあまたねシェル、セナ。コーマとエナにヨロシク」
僕は、ロキの首を楽しそうに絞めて遊んでいるリョクと殺されそうになっているロキに
「いつまでも馬鹿やってないで行くよ!!!」
と言って、ユートラル国を後にした。



「おい。会わせなくて良かったのか、セナ」
「会わせてどうにかなるわけじゃないでしょ~」
「うぐ・・」
「それよりも、貴方の下にはアタシが就くんだから~」
「い゛!?」
「あら~、何か不服でも~?」
「ナニモ、アリマセン、セナサマ」
「フフッ」
レキ・・・貴方は今を大切にしたい人護りなさい。
エナは、それを願ってると思うわ。
「何考えてんだ、セナ」
「別に~」



その後、ユートラル国国防連合軍警察庁警視総監がとある女性にこき使われているという事が発覚するのは、先のお話―・・・

【夢追い人 第九話 南東の結論 End】
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