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コートという、戦いを愛す国へ僕らは入国した。そして何故か早々と捕まった。理由は、全く分からない。本当なら、ゆっくり適当な時間を過ごすつもりだっただけなのにね。この国にとって重罪的罪を犯したらしい僕たちは、頑丈な手錠をされて、牢に投げ込まれた。それも、別々に。
「はあ・・・」 ため息をついた僕は、腰に吊るしたホルスターに入っている「雪の人」を無理にでも取ってみようかと心みたけど、怪しく笑う牢の番人の男に 「へっへっへっ、お前等は博士の材料さっ!!!!」 材料と言われましても。向かい側の牢に入っているリョクは、隅っこの方で何かを企んでいるらしい仕草をしてる。キミも対外怪しいよね・・・。 そうして時間が過ぎる中で、僕らは貧相な食事を貰い、過ぎ行くままの状態で一日を過ごしてしまった。 翌日、番人の男がリョクだけを外へ出した。 「へへっ、お前は使い物になんねえから出してやるよっ!!!」 「ども」 牢の鍵は、番人が持っているからリョクは僕の牢へ近づいて 「外で何か探しとくな」 「ヨロシク」 そうしてリョクは、牢が並んだ薄暗いこの空間から姿を消した。 残された僕は、やっぱりのんびりと過ごしていた。でも、いい加減飽きてくるんだよね。この生活。まだ二日目だけどさ。僕は、番人に声を掛けるため格子に近寄った。 「ねぇねぇ、番人さん」 「ぁん?」 「僕ね、ここから出たいだけど」 「それは出来ねぇさっ!!!」 チッ・・・と心の中で思っておく。 「どーしてぇ?」 瞳を涙で潤ませて、神に祈りを請うかの様なポーズをし、首を右へ傾けた僕は、番人の顔を見つめる。すると番人は何かを感じたのか、鍵をあっさり開けて、僕の手錠の鍵まで外してくれた。ちょろいね、アンタ。 「オ、オレは、べっ、別にアンタ、を・・・・・・・・・・・・・・」 抱きつかれそうになる所を、素早く避けて僕は牢から脱出した。下種的要素を持つ人間ってやんなっちゃうよ。いや、マジで。 ともかく、楽に脱出できた僕を阻むかのようにやってくる男女を投げ飛ばしつつ、外へ出た。そこには、ずっと僕を待っていたという顔を向けてくる品の良い青年が立っていた。 「こんにちわ」 「・・・・・?」 一体誰だろうか、この人は。それにリョクがその人の側近らしき人物に捕まっているのは何故だろうか。取り敢えず返事だけはすべきかと思うけれど、それもこの不敵な笑みを降り注ぐ奴にこの僕からどうして「こんにちは」と返せばいいのだろか。 「ソレ、美味しくないですよ」 「んな事、言ってないで助けるとかしやがれー!!!!!!!!!!」 「はっ、先に牢から出て行ったくせに」 僕が、サラッと酷い事を言うと、捕らえられた身のリョクは、力なくうな垂れている。 「とにかく、その人返して貰えませんか?」 少年の側近へ近づくと、僕の背には44マグナムが突きつけられていた。 ああ、貴方達は僕たちに何かをするつもりなんですか。僕は、腰に吊るした「雪の人」を素早く抜いて、リョクはそれを見て「業火」に手を添えている。 「離さないと、死んじゃいますけど?」 「つーか、殺すし?」 捕まっているのに関わらず、余裕をかましているリョクは、両脇にいる男の鳩尾を強烈な力で殴って、44マグナムを背に突きつけられている僕の腕を引いて助けてくれた。 「いけませんね」 「何がだよ!!!こっちは、こんな所でいる必要性ねぇんだよ!!!!!」 そうそう。バイクとか捕まった所に置きっぱなしだしね。それに、こんな国、居たくもないんだよ。僕は、リョクの背中を軽く一回叩いた。それは、逃げる合図。周りにいる僕らを取り囲む奴等をなぎ払って、バイクへ向かうリョクを追いかけている奴等の息の根を止めるために「雪の人」の銃弾を連続に撃った。その銃弾は、的確に命を絶ち、挨拶を交わしてきた青年を絶句させた。 「僕を怒らせる前に、消えて貰えないですか・・・・?」 「仕方ないですね。日を改めたいと思いますよ。行きますよ、皆さん」 青年が僕の前から立ち去ると、少しの間避難していた民間人が僕の所へ集まってきた。僕は、「雪の人」を腰に吊るしたホルスターに戻して、「スミマセン」と頭を深々と下げて謝ると、返って来た言葉に驚いてしまった。 「いいえっ!!私どもは、貴方の様な方をずっとお待ちしておりました!!!」 僕たち旅人は、この国のことを「戦争を愛している国」と聞いていたから。そこへ、バイクを取ってきたリョクも加わって、話を聞く事になった。そのために、酒場に行く事となった。 PR
酒場のマスターが詳しく教えてくれるから、と言って民間人はそそくさと消えていった。
「で、アンタ等ここに何しに来たっつーんだあ?」 酒場のマスターは、見た目物凄い強面だけど優しそうな人みたい。証拠に、リョクが警戒していないからね。 「僕は『夢追い人 推古=レキ』と言います」 「オレは、同行してる旅人の仁義=リョク♪」 自己紹介を済ませるとマスターは僕の顔をじっくり見て、 「アンタが『夢追い人』か。そんなら狙われても無理ねぇわな」 どういう意味なんだろうか。『夢追い人』は世界中探しても数人しかいない。昔は沢山居たんだけど、殺されたりして数が減った。その職業に就いてるこの僕が狙われる・・・? 「詳しく教えて頂けますか?」 「大歓迎さ。でも、俺んトコ泊まってくれるっつーんならだけどな」 「おっさんトコ、綺麗っ!?」 「ああ、綺麗さ!風呂とトイレは別々だからな!」 「じゃあ、決定だなっ、レキ!!」 「そうだね。というわけでお願いします」 僕達は、マスターの条件に従って情報を掴む事が出来た。そして、マスターは事のあらましをゆっくりと話し始めた。 「昔、この国は闘い好きな国として有名だった。日々が決闘決闘の繰り返しで、何人もの血が流れていた。それは数十年も続いた。でも、今から数年前一人の青年が現れて争いは、不毛で意味の無いものだと言った。けどな、そんな言葉信じる奴何ていなかったんだよ。誰もが闘う事は普通だと思っていたからな。そしたら、青年は不思議な力を使って、俺たち民間人を脅したんだ。それからというもの、旅人は訪れなくなるし、誰も外へ出ようとしないから・・・今日は珍しいんだ。外が、こんなにも騒がしいのは。本当に感謝するよ」 マスターは、一旦溜息をついてまた話し始めた。 「奴等は、夢を追う者に異様なまでに興味を示している。何の目的なのか調べようとした捕らえられた夢追い人は、ことごとく殺された。夢追い人だけじゃない。旅人さえも殺された。だから、アンタ等は俺らにとって救世主として考えてもいい程なんだ」 夢追い人が、救世主・・・? その考えは間違ってるね。そんな生易しい職業なんてしていたくないよ。 「おっさんは、オレ等に助けて欲しいんだろ?」 「俺は、どうでもいいよ。只もう誰にも死んで欲しくないだけさ」 深く息を吐いた僕は、立ち上がって酒場を静かに出ようとする。 「おい、何してんだよ」 「リョクは、おっさんと居て。外にいる下種を潰してくる・・・」 「無茶すんなよ」 「僕を誰だと思ってる?」 振り向いた僕の目は、完全にいつもとは違うものを放っていた。 それは、鋭い殺意。酒場を出た僕の眼界に広がる世界は、快楽を味わうためだけのものに感じた。 「残虐に骨の髄まで殺し尽くしてあげるよこの僕が・・・」 手加減なんてしないよ。ちゃんと忠告してあげたからね。 「覚悟が出来てる人から来なよ」 僕は、武器一つまだ手にしていない。覚悟なんて、そんなすぐに出来るものじゃないのに、奴らは向かってくる。全く・・・。 飽きらめモードに入った僕は、止む終えなく「雪の人」を抜いて真っ向から向かってくる三人を仕留めた。すると、騒ぎに巻き込まれた民間人の子供が悲鳴を上げて、親にすがっている。そんな光景を潰そうとした奴の腹を短刀「血塊」で突き刺した。僕の手は、もう血に塗られている。 「弱いね。もう全員で来なよ、僕は余裕だから」 挑発に軽々乗ってくれた男女十数名を僕は、銃弾を差し替えた「雪の人」で連続に殺していく。多分、普通の人の目には見えない速さで。 バタバタと倒れていく奴等を見下ろしていると、あの青年が僕の前に訪れた。何か、とても嫌な予感がする。 「さすが、持つべきものは遺伝子ですね」 「旅をする者なら、こういう事を想定しないといけないと思いますよ」 青年は、隠し持っていたナイフを僕へ見せ付けた。 「それで僕をどうにかするんですか?」 「いえ、これは貴方の気を引くためですよ」 いつの間にか僕はまた、囲まれていた。超最悪。こうなると、そろそろ新しい武器が欲しくなる。そう思ったら、酒場からリョクが楽しそうに鼻歌を歌いながら、僕の周りにいる奴等をなぎ払った。 「大丈夫かあ?」 「何とか、ね」 そう言った僕の左腕にナイフが刺さった。 「余所見はいけませんよ」 結構深く刺さったナイフを勢いよく抜くと、傷口から鮮血が溢れてくる。 「余所見してるわけじゃなかったんだけど・・・・」 そろそろ僕の余裕も尽きる・・かな。 「リョク!!」 「何だ!!」 「無事を願う」 「・・・お前も」 リョクは、周りにいる民間人を連れて酒場に戻った。 「注意事項第一項.夢追い人の昔の名称は殺し屋又は、壊し屋」 僕は、怒りに溺れた昔の姿を記憶から呼び覚まして不吉に笑った。 青年は、その姿に一歩後ずさって逃げようとする。でも、それを許さない僕は、短刀「血塊」を青年の右腕に刺して抜く。その間に背後からは、青年の仲間が僕を攻撃してくるから、それを「雪の人」で終わりにさせてしまう事は出来る。 「目障りなんだよ・・・遺伝子とか五月蝿い」 僕の怒りは、静かに青年の命の長さを短くさせてしまう・・・・? それは、良い事・・・? 昔の幻影辿って楽しい・・・・・・・・? 違う。そんな事望んではいない。いや、望まない。 「雪の人」を腰に吊るしたホルスターにしまった僕は、青年から一歩下がり、踵を返した。 「急ぐ旅じゃないから、いつでも相手してあげるけど、今日はキミもゆっくり休みなよ」 「そうはいかないのですが、仕方ないですね。推古=レキ、貴方に従いましょう」 青年は、僕を囲んでいた奴等を連れて何処かへ歩いて行った。通りは、いつも通りの光景が戻ってきた。酒場に戻った僕を歓迎してくれたのは、マスターだけ。 「マスター、阿呆リョクは?」 言葉を発する代わりに、マスターは指を差した。その方向には、数人の女性に囲まれて良い気分になっている阿呆の姿が見えた。僕が頑張っている最中、何してんのさ・・なんて思って溜息をつくと左右のイスに男が座った。嫌な予感。 「キミ、名前なんてーの?」 予感的中ってやつ? 「・・・レキ」 「女の子なのに、旅とか大変なんじゃねー?」 ああ、これはいつも通り殴れる状況じゃないのかな。マスターなんか、ニヤニヤ笑ってるし。僕、そんなに間違えられるっけ? というか、正直言ってこういうの慣れないから・・・どうしても・・・。 『ってえええええええええええええええええええええええっ!!!!!!!!!』 僕の両側に座っていた男の腕を、ありえない方へ捻じ曲げた僕は酒場から出て行こうと決めた。だって、僕にこんな場所似合わないから。 「マスター!!」 「おう」 「1時間後に戻って来ます」 「しっかり戻って来いよー」 僕は、酒場を出た理由は、僕たちを捕まえた奴等の情報収入って所かな。 ただ・・・普通の人には聞けないんだなあ・・コレが。 ちょっとヤバイ職業に就いてる人に聞かないといけないんだけど、この国にいるのかな。知り合いに、凄いヤバ目な人がいるんだけど、簡単に会えるわけでもないし。 適当に、歩いていれば見つかるか。僕は、通りの横道へ入った。そこに、ちょっとヤバ目な男を見つけて 「こんにちはー」 軽く声を掛ける。すると、 「あぁ?」 帰って来るのは返事らしくない返事と、威嚇してくる目。僕は「雪の人」を男の眉間に当てて、にっこり微笑んで、 「命が尽きるまであと何秒持つだろうね♪」 男は、その場に座り込んでゆっくりと後ろへ後退しようとするけど、僕がゆっくりと前進するせいで何の変わりも得ていない。何で人間って馬鹿なんだろうか。 「色々聞きたい事あるんだけど、キミのアジトに連れてってくれない?」 「そ、それは、だ、駄目だ!!」 舌打ちして、目付きを変えた僕を直視した男は、サッと立ち上がり 「この国のことなら、兄貴に聞いた方が手っ取り早いっス!!!!!」 何だ、言葉分かってるんじゃんか。表情を元に戻した僕は、男に連れられて横道をどんどん奥へと進んで行った。
そうして着いた所には、倉庫がひとつあって
「兄貴ー!!!兄貴に話聞きたいって奴がー・・・」 男の掛け声で、倉庫から数人の男が出てきた。うわあ・・・・強そうな人たちだなあ。 「こんにちはー」 「誰だ、テメェ」 「僕は、『夢追い人 推古=レキ』といいます」 兄貴と慕われていそうな男が、僕の名前を聞くと 「入れ。教えてやる、俺が知っている事を」 「ありがとう。その前にキミの名前知っておきたいんだけどなあ」 「壊屋=ハル。壊し屋だ」 壊し屋か。あんまり有名じゃない名前だけど、慕われてるからには強いんだろう。そのハルと子分らしき男に連れられて僕は倉庫へ入って行った。 倉庫の中は、ひんやりとしていて今の季節に最適とは言えない温度だった。それでも何とか堪える事が出来そうな僕は、床に敷かれた小さな布切れの上に座れ。と指図された。ああ、キミ達も僕の性別勘違いしてるのかな。 「で、何が聞きたい?」 「さっき通りで僕とやり合った人達の事かな。うん」 壊し屋、壊屋=ハルは、ほんの少しだけ時間を置いて、少しずつ自分の事から話し始めた。 「俺は、昔アイツ等・・・第四研究施設研究員の一人だった」 何、あの人達って研究員なんだ。確かに、怪しい格好はしていたけど。 言ってなかったけど、彼等は戦闘能力が一般の民間人より優れていて、白い白衣か黒い白衣を身に纏っていた。そんな奴等の一人だったなんて。 それから、ハルは全てを教えてくれた。 研究員は、数百を超すとか。研究所所長は若干20歳だとか。 そして一番重要な話が、ひとつ僕の耳に止まった。 「奴等の研究素材は、夢追い人だ」 その言葉を聞いて、瞬間的に僕はうな垂れた。 そんなの僕を狙う理由になってるじゃないか。 「―――とまぁ、俺の知ってる事はそれくらいだ」 「ありがとう、ハル。時間だからまたね」 「ああ」 僕は、倉庫を出て酒場に戻った。その酒場には、マスターとリョクが僕の帰りを待ちわびていて、その足でマスターの家へ向かう途中、不覚にも僕は手錠を掛けられてしまった。 「彼を連れて行きなさい」 またしても、僕は青年に捕らえられてしまった。 「マスター、リョクを頼みます!!」 「おう。任せろ!」 どんどんマスターとリョクの姿は小さくなって、遂には見えなくなった。 |