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「夢喰い人」との一件を済ませてセントラル国に戻ると、空は闇に包まれていた。
その空を仰ぎ見れば、数億個の星々が小さく瞬き空を彩っている。 それを見て僕はバイクを止めた。 隣につけていたリョクもバイクを止めて空を見る。 何の変哲もない空の闇に星と月があるだけ。 それは何億年も続いて来た事なのに、今日だけは特別なものに見える。 リョクは何かを僕に伝えようとしたのか悩んだ顔をした。 その顔に何を問う事をしない僕はただ空を見る。 再び始まる旅に、何を思うか何を感じるかは僕とリョクでは異なる。 僕は世界を守りぬくために。 リョクは何かを遂行するために。 以前から思ってたんだ。 リョクには何らかの秘密があると。 だからって秘密を聞こうとは思わない。 それは今が夜だから。 夜はそんな時間帯だと思う。 本当の意味での夜は僕達には遠い未来。 こんな夜は家に帰って、ゆっくりすればいいかな。 それが駄目なら屋根に昇って外でも見るか。 僕はバイクのエンジンを掛け、リョクの前を走る。 リョクはただ僕を静かに追いかけてくる。 全身血まみれみなったままの僕は、家に着いて母さんとロキにかなり心配された。 怪我はないかとか。 そうやって心配されるのが、当分先まで無いかと思うと少し淋しく感じてしまった。 僕はシャワーで全身に纏わりつく穢れた血を洗い流し、簡素な服に袖を通す。 リビングに出て、ビン牛乳を一気飲みして、庭へ出る。 そこには歌を歌っているリョクがいた。 その歌を、芝生に座って聞き入っていると空に瞬く一つの星が、急激に美しく輝いた。 その星は、何億光年も先で消滅した名も無き星。 儚げに歌うリョクの歌は何処の国のものなのか僕は知らない。 ただ、思うのはその曲がこの世界の言葉ではないこと。 ただ聞いているだけで儚く聞こえるだけ。 それが心に染み渡る。 僕は一度自室に戻り、小さな小箱から一つの宝石を取り出す。 それを持って庭に戻ると彼女はまだ歌を奏でていた。 手にしてみた宝石の名前なんか知らない。 旅を始めようなんて思ってなかった頃に出逢った、とても強い旅人に貰ったこの宝石には願いを叶える力が昔宿っていたのだと旅人は言っていた。 宝石は深く蒼く光り輝く。 まるで特別な夜に生まれた小さな赤子の様に。 歌い続ける彼女の歌に聞き入って、母さんが武器であるフルートの音色を旋律に乗せて奏でる。 彼女もフルートが入ったことに気づき、この世界の言葉で小さく「ありがとう」と言った。 この夜が明ければ、また旅が始まる。 再び始まる新しい旅が― 【夢追い人 第十六話 セントラルの夜 End】 PR |