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師匠達の家を後にして数十分後、ラクチュラス国の中へ入った。
走行速度を落として、王家へと向かう。そうして着いた王家の前にバイクを止め、僕達は王家へ入っていく。多彩な装飾品が至る所にあるこの場所に何故メツ達がいるんだろう。サライから渡された紙を持つ僕は考えに耽っているけれど、リョクは特に何も考えていない表情で隣を歩いてる。
すると僕達の前に一人の長身の男、破=メツが突如現われて、
「来んのが遅ぇんだよ・・・!」
こう言った。メツはいつになく機嫌が悪いのか、ボク達二人を見下ろして睨んでくる。
「しゃーねーだろー。色々あって時間食ったんだし」
天井に描かれた絵を見ながらリョクが言うと、メツは嘆息して
「飯食ってねえだろ、来い」
僕達を引き連れて、広い部屋に連れて行った。その部屋にある食卓の上にズラッといくつもの料理が乗った皿が載せられていて、リョクはババッと荷物を下ろしイスに座って料理に手をつける。リョクが半ば投げ捨てた荷物を空いているイスの一つに置き、自分の荷物も同じイスに置いてから僕もイスに腰掛け、料理に手をつける。メツは僕の前のイスに座って、僕の顔を見てくる。
「何かついてる?」
「ああ」
どこだろう・・・と口元辺りを探していると、メツがスッと手を伸ばして、それを取ってくれた。
「ありがとう。でも珍しいね、キミがこんな事するなんて。それにどうして王家の中にいるの?」
「ソウがここの人間だからだ」
ブッとリョクが何かを口から噴出した。汚い・・・。
リョクの口の周りはベットリと汚くなっているから、近くにあったティッシュでそれを取ってあげていると、部屋のドアが激しく揺らぎ始めた。
「なみゅか、くみゅ」
「ちょっと黙りなよ馬鹿リョク。ほら、こっちむいて」
ゴシゴシと汚れを取る僕と大人しくしてるリョクにまた嘆息して、メツは立ち上がり、ガタガタと揺れているドアまで近づいて、そのドアに手を当て内側へ引いた。すると外側から小さな女の子が一人転がってきた。ガチャンとドアが閉まると、ドアの揺れも収まって転がっていた女の子はリョクの口の周りを綺麗にし終えた僕と水を飲んでるリョクを凝視していた。
「ホモですか?」
しかも一言めが結構心に沁みるねえ。
「ティム。銀髪の方はアレでも女だ」
「あ、そうなんですか? それはすみませんでした」
ティムと呼ばれた女の子はそう言いつつも全然謝ってる感じがしない。
心がこもっていない挨拶に聞こえてしかたないから。
「レキ、リョク、コイツはソウ付きの侍女、水花=ティムだ」
「オレ、仁義=リョク!」
リョクはさっそくティムと握手を交わし、次に僕を見た。
「貴方の名前は推古=レキ。久しぶりですが、私は貴方を覚えていますよ」
ティムの目は真っ直ぐ僕を見てくる。この場所の空気が変化しだすのが目にとって分かって、僕は荷物の中から短刀「血壊」を出して、ドアを内側に引いた。
「何処行くんだ、レキ。テメェ、ここの事全然分かんねえだろうが!」
メツが僕の腕を掴んで止めようとして、僕はすぐにベランダまで逃げて、手すりに立ち、部屋の方へ向いた。そこには慌てるリョクを抑えるメツと拳銃を握るティムの姿があった。
拳銃から銃弾が放たれて、それから逃れるために僕はそのまま体を後ろ向きに倒した。
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地面へ向かって下降する身体の向きを空中で上手く変化させ、地面に足を置いた僕の前に一つの墓石がある。その墓石へ近づいて手を当てた。

ドクンッ・・・・・!

心臓が高ぶる様な、とてつもなく嫌な感じがして後ろに振り向くと、そこにはティムが立っていた。拳銃を手に収め、その銃口を僕の額へ向けている。
「姉様の復讐だぁぁぁぁあああああああああっ!!!!!!!」
銃口から残りの銃弾全てが放たれ、それを全て軽い身のこなしで避けた僕は彼女の後ろへ回り込み、首の辺りを軽く手刀で叩き、気絶させた。地面にドサッと倒れた彼女を仰向けにさせ、右手から離れてしまった拳銃をもう一度握らせて、僕はその墓石の前から姿を消そうとして、足先を向けたその方向にソウが立っていた。普段とは別人の表情を浮かべる彼女は、黒のドレスを身に纏っている。
「・・・レキ」
懐かしい人に会ったかの様な仕草をするソウの隣をサッと通り過ぎる。
「戻って下さいレキ!!」
「・・・五月蝿いよソウ。ティムにしたら僕は単なる殺人者だ」
「そうではありませんっ!! 貴方はソウをーーー」
ソウは何かを言いかける。それを遮るようにして僕は声を被せる。
「例え! それがどういう理由であっても、他人から見ればそれは殺人だ。皆の事よろしくね」
逃げるように去って行く僕を追いかけなかった。いや、追いかけられなかったんだろう。気絶していたティムが思ったより随分早く目を覚ましたから。
思い出したくない過去。払拭したい過ちの過去。
静かに重く息を吐いた僕は王家の壁を乗り越えて、街へ入った。


ベランダからレキが落ちて、その後をオレはメツと追いかけたけど、そこにレキの姿は無かった。その代わりにドレスを着たソウがティムと一緒にいる。
「何処へ行った」
「皆さんの事をよろしく。と言い行かれました」
「分かった。リョク、中へ戻れ」
何なんだよ・・・・・。オレがいないうちに何が起こってたんだよ。
レキ、オレに言ったよな・・・一緒に話聞いててもいいって。
なのにどうして、どうしてまたいなくなるんだよ!!!
オレの中で眠るオレの力が漲ってくる。オレをこの場に残したレキが許せない。オレをこの場に残したレキが恨めしい。
「あんま熱くなってんじゃねえぞ」
メツの声にはっとしたオレは平然を装いながらソウへ近づいた。
「どうされましたか?」
「・・・」
オレはすぅっと息を吸い、オレの母国特有の挨拶をソウの前で行う。
「我が名は、アシュレ王国第二王女、神=ソラ。推古=レキと貴方がたの関係を知りたい所存であります」
あんまりにも久しぶりに使う敬語のせいで、顔の筋肉が硬直する~・・・。
でもタメ口で聞いたらきっと流されるんだ。それをオレは知ってるから、今だけはちゃんとしよう。フォローしてくれるレキもいないのだから。
ソウは頭を垂れているオレに
「頭を上げて下さい、ソラ」
と言い、普通の姿勢になったオレを少し見上げて、
「全てお話します」
「姫様っ!!」
「メツ、ティムを連れて行きなさい」
「そいつを殺すなよ、ソウ」
メツはそう言って、口の中にいれていた食べ物をガリッとかじり、それを吐き捨て軽々とティムを担いで建物の中へ去っていく。
「私達と推古=レキの関係を話す前に、推古=レキがどういう存在か貴女は御存知ですか?」
いつも見てたソウの表情からは想像もつかないほどの微笑にオレは圧倒されながら、首を左右に振る。するとソウは語り始めた。
推古=レキという人物について・・・。
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