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この家の二階には、部屋が何部屋かあって、うち二部屋を師匠たちは個々に使ってる。
そして、たまにやってくる彼等の弟子達専用の部屋があって、その一番奥に、少し広めの部屋が一つある。
その部屋を僕達二人は使ってる。
どうして僕達が二人で一部屋を使うのかというと、問題は全てリョクにある。
リョクは一人で寝られないし、自分で起きれないし、すぐに散らかすし、ベッドから落ちるし、だから僕達二人は特別に広い部屋を使わせてもらってる。
その分、色々やらされたりはするんだけど。
その部屋のドアを開け部屋に荷物を置き、適当な場所にあったイスに上着を掛け、帽子を脱いだ。
「アンタ、まだ小さいままだねえ」
「レキは大器晩成型なんだよ、師匠!」
リョクがまるでフォローする様に言い、サライは嬉しげに笑ってる。
僕は荷物の中から小型ノートパソコン型携帯を取り出した。
「何に使うんだ、ソレ」
リョクが僕の携帯電話を指差してみる。
「さ、行くか!」
「そうだね、サライ」
「サライ師匠様。だろ?」
「様はいらないでしょ、様は」
僕とサライが、リョクを無視しながら部屋を出ると、ドアがパタンと閉まった。
「あ~・・・・・ありゃ、完っ全に拗ねたぞ」
「何せ馬鹿だからね」
「手遅れじゃねえだろ」
「まあね。とにかく、降りないと、変態が狂うよ」
「だな」
急いで階段を下りると、師匠と思しき変態は床をゴロゴロ転がっていた。
その気持ち悪さに耐え難い顔をした僕を救うかのように、サライが師匠の首根っこを掴み、ソファへ叩き付けた。
バゴッという音とともにソファにずるっと倒れる師匠を見つつ、僕とサライは向かい側に置いてあるソファに座った。
「いつまでもへばってんじゃねえぞ、変態」
「俺は変態じゃないよー」
そう言いながら普通の姿勢で座る師匠は、瞬時に目つきを変えた。
「世界が均衡を保てなくなってきてる事に気づいているね、レキ」
「そうでなきゃ、来てないよ」
と返した僕の言葉を聞いて、サライが席を立ち、台所へ行き何やら作り始めた。
「夢喰い人の脅威を止めるべき者の筆頭に、お前が選ばれた事が何を示すか分かっているね?」
「詠歌師という架空の職業に就く者の定め」
「よく分かってんだな、レキ。頭良くなったのか?」
台所からサライがケラケラと笑いながら言う。
「昔から頭良いんだけど」
「そりゃ、失礼」
サライはまた台所で何かを調理始め、師匠が手持ちのパソコンを起動させ、
「立ち上がるまでの間、少し話をしよう」
「うん」
師匠はパソコンの画面をじっと見つめたままで話し始める。
「詠歌師はまだ世界に俺とお前だけ。持っている力は個々に違う。俺が癒しの声を持つように、レキは破壊の声を持つ」
対照的な力を持つことは、この力の存在を知った時に理解して、その上で使い方をこの人に学んだ。
「詠歌師に敵う者は世界におそらくいないだろう。だからこそ、人々の夢を喰らい、そのエネルギーを利用し、俺達の様な者達を消し去りたい夢喰い人の考えは?」

『ならば、その詠歌師ごと世界を滅ぼせば全ては終わる。新たな世界は我等が夢喰い人が創り出す』

答えたのは僕でもなく、師匠でもなく、サライでもない。
二階にいるはずのリョクだった。
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しっかりとした意識を持ってるリョクが、考えもしなかった言葉を言った。
それもその答えが完璧なほどに当たっていて、僕は驚いたけど、師匠はリョクを僕の隣に座るように言い、彼女は座る。
「どうしてリョクは夢喰い人の考えを?」
何の疑いも持っていない師匠がリョクに尋ねると、
「オーリに聞かされたんだ。アイツ、夢喰い人が人間の中でとりわけ嫌いって言っててさ、それでいつもよく言ってたんだよ、それ」
以外にもアッサリ答えた。
「オーリか。久しい名前だな、サライ」
師匠は台所から、こちらへ戻ってきたサライに言う。
サライは軽食に、と作ったサンドウィッチを無理矢理僕の口に突っ込んで、笑う。
サイアク・・・。
それをむしゃむしゃ食べてる僕を尻目に、三人は話を進める。
「ああ、あのレキに似てるクソガキか?」
「師匠っ! オーリとレキ、全然似てないって!!!」
「そうだぞ! アイツには可愛げなんてものは無いんだー!!!」
一人黙々とサンドウィッチを食べてる僕なんて気にしないで三人は話をして、完全に僕を忘れてくれていて、食べ終えた僕は、
「というか、師匠達はどういう経緯でアイツと知り合いなわけ?」
三人のうち二人に尋ねた。
「冥界神王、王=オーリは一時ココにいたんだ」
「つまり、お前ら二人の先輩って事だな!」
カラカラと笑うサライと師匠は言った。
「「ええええええええええええええええええええっ!!!」」
当然の如く驚いた僕とリョクは叫んだ。








まだ途中でし(ノД`)・゜・。











師匠達の家を後にして数十分後、ラクチュラス国の中へ入った。
走行速度を落として、王家へと向かう。そうして着いた王家の前にバイクを止め、僕達は王家へ入っていく。多彩な装飾品が至る所にあるこの場所に何故メツ達がいるんだろう。サライから渡された紙を持つ僕は考えに耽っているけれど、リョクは特に何も考えていない表情で隣を歩いてる。
すると僕達の前に一人の長身の男、破=メツが突如現われて、
「来んのが遅ぇんだよ・・・!」
こう言った。メツはいつになく機嫌が悪いのか、ボク達二人を見下ろして睨んでくる。
「しゃーねーだろー。色々あって時間食ったんだし」
天井に描かれた絵を見ながらリョクが言うと、メツは嘆息して
「飯食ってねえだろ、来い」
僕達を引き連れて、広い部屋に連れて行った。その部屋にある食卓の上にズラッといくつもの料理が乗った皿が載せられていて、リョクはババッと荷物を下ろしイスに座って料理に手をつける。リョクが半ば投げ捨てた荷物を空いているイスの一つに置き、自分の荷物も同じイスに置いてから僕もイスに腰掛け、料理に手をつける。メツは僕の前のイスに座って、僕の顔を見てくる。
「何かついてる?」
「ああ」
どこだろう・・・と口元辺りを探していると、メツがスッと手を伸ばして、それを取ってくれた。
「ありがとう。でも珍しいね、キミがこんな事するなんて。それにどうして王家の中にいるの?」
「ソウがここの人間だからだ」
ブッとリョクが何かを口から噴出した。汚い・・・。
リョクの口の周りはベットリと汚くなっているから、近くにあったティッシュでそれを取ってあげていると、部屋のドアが激しく揺らぎ始めた。
「なみゅか、くみゅ」
「ちょっと黙りなよ馬鹿リョク。ほら、こっちむいて」
ゴシゴシと汚れを取る僕と大人しくしてるリョクにまた嘆息して、メツは立ち上がり、ガタガタと揺れているドアまで近づいて、そのドアに手を当て内側へ引いた。すると外側から小さな女の子が一人転がってきた。ガチャンとドアが閉まると、ドアの揺れも収まって転がっていた女の子はリョクの口の周りを綺麗にし終えた僕と水を飲んでるリョクを凝視していた。
「ホモですか?」
しかも一言めが結構心に沁みるねえ。
「ティム。銀髪の方はアレでも女だ」
「あ、そうなんですか? それはすみませんでした」
ティムと呼ばれた女の子はそう言いつつも全然謝ってる感じがしない。
心がこもっていない挨拶に聞こえてしかたないから。
「レキ、リョク、コイツはソウ付きの侍女、水花=ティムだ」
「オレ、仁義=リョク!」
リョクはさっそくティムと握手を交わし、次に僕を見た。
「貴方の名前は推古=レキ。久しぶりですが、私は貴方を覚えていますよ」
ティムの目は真っ直ぐ僕を見てくる。この場所の空気が変化しだすのが目にとって分かって、僕は荷物の中から短刀「血壊」を出して、ドアを内側に引いた。
「何処行くんだ、レキ。テメェ、ここの事全然分かんねえだろうが!」
メツが僕の腕を掴んで止めようとして、僕はすぐにベランダまで逃げて、手すりに立ち、部屋の方へ向いた。そこには慌てるリョクを抑えるメツと拳銃を握るティムの姿があった。
拳銃から銃弾が放たれて、それから逃れるために僕はそのまま体を後ろ向きに倒した。
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