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男について行った場所は、小さな休憩所の様な場所。そこで男はお茶を淹れ、私に渡す。それを私はじっと見て
「何も入れてないわよね・・・?」
疑い深く男へ尋ねた。
「大丈夫ですよー」
男はそう言って、お茶を啜り飲んだ。胸を撫で下ろした私も同じ様に出されたお茶を飲む。そして男はカップを机に置き、少し躊躇う様に話し出す。
「私は此処の鐘を守る者、清音=ファルセと申しますー・・・。もう一人の貴女なら私の名前を知っているはずですー・・・」
清音=ファルセという名前に、私の中のリョクが少し心を揺らされた。
にしても、この男はどうして私の中にもう一人の心があることが分かったのかしら?
「どうして私が貴女の中のもう一人に気づいたかと申しますとー・・・同族は分かってしまうのですー・・」
同族。
その言葉に何の意味があるのかを私は知っている。リョクがこの世界の者では無いという事。分かりきった事なのに、他人から言われると考えさせられる言葉。
「私の別名は、天空神=ファルセと言いましてー・・・つまりはこの世界の人間ではありませんー」
私の心が大きく揺らぎ、リョクの意識や心全てが私からいなくなった。
軽くなった一人分の心。今まで二つあった心が失くなってしまった。
「貴女は彼女の本当の名前を知っていますかー?」
リョクの本当の名前?
聞いた事無いわ。だってあの子の名前は――――・・・
「それはどういう意味なの」
きつく男に言う私に、男は言葉を続ける。
「異界での彼女の本当の名前の事ですよー」
知るはずがないじゃない。
私が知っているのは仁義=リョク。という名前と、もう一つの名前しかしらないのだから。
そして男は言う。己の姿を少しずつ変化させながら、服装も純白の美しい衣服に替えて・・・

「彼女の名は、冥界番人神=ソラ」

その名前に聞き覚えなど無かった。そして教会の鐘が静かに鳴り響いた。

ゴーン          ゴーン          ゴーン

十七話 END
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天空神=ファルセのせいでオレの素性がバレた。だからオレはファルセの首を絞める。そりゃあもう締めまくる。
「テメェッ!!!!!!!!!」
「すいませんー。でも私も使命がありましたからー」
ファルセに突っかかるオレにレキが唖然としてる。
そっか・・・そうだよな・・・。オレの名前知っちゃったもんな。
オレはファルセから離れ、レキへ深々と一礼し身に着けていた衣服を自らの意思で、漆黒の衣服へ変えていく。
その流れにレキは何も言えずにいた。そして衣服全てが本来のオレのものに変わってオレは覚悟を決めた。
「話したいことがあるんだ」
レキは何も言わないで、ファルセとオレの後ろをついて歩く。

『大丈夫なの?』
心の中でサラがオレへ呼びかける。いつかこの日が来ると分かっていたから大丈夫。
『ならいいけれど、無理するならアイツを呼ぶわよ』
それは勘弁。出来ればオレの口から全てを話したい。でも最初の方は無理だからお前に任せるよ。
『私は、お前って名前じゃないわ』
こんな時までそういう口ぶりかよ。
『何か言ったかしら?』
いいえ、何も。そしてオレは教会の地下へと進む。
そうして着いた場所は、教会の地下とは思えないほど明るい一室。
そこにオレは入り、後にファルセとレキが続き、レキの足が止まった。
目の前の壁に書かれた異界の文字。ファルセでも分からない異界の文字。
その文字の意味をオレは理解出来る。それはオレがこの世の者ではないから。
オレは二人をイスに座る様に示し、オレは壁に手を触れた。そしてオレは静かに話し始める。

十八話 END
森を車とバイクで突き走っていると、二手に分かれる道へ出た。
そこで、前を走ってる車が先にブレーキをかけ、バイクに乗る僕は左側の道へ前輪を向け、
「僕らはこっちに用があるけど、キミ達はどうする?」
運転席に座るメツへ言うと
「右へ行く。左は行き止まりのはずだ。何をしに行くんだ?」
「用事を済ませに行くんだ。だから先に行っておいてくれないかな?」
メツは返事をせずに車を発進させ、右側の道へと進んで行った。
それを見送って、僕達も左側の道へ進んで行く。

左側の道は右側の道よりも、ガタガタの砂利道で走りにくい。
それを我慢して進んでいくと、行き止まりに一件の赤い屋根が印象的な、大きな木造の家がある。
その家の玄関前にバイクを止め、メットを脱ぎ、玄関のドアに手を掛け、ノックする。
するとドアはゆっくり開き、中から長身の女が出てきて、僕を見るや否や日本刀を向け、僕はバイクの所まで飛び退いた。
「よくものこのこ、やって来やがったなテメェッ!!」
「用事があったから来ただけだよ、クソババアッ!!!」
「誰がババアだと!? 今日という今日こそ、噛み殺してやる、クソガキャァッ!!!
「やってみろよ、糞男女野郎!!!」


久しぶりのマジモードのレキだー。
にしても、相変わらずというか、久しぶりというか。
レキと言い争ってる人は、蛇道=サライといって、オレに戦い方を教えてくれた師匠なんだけど、口が汚い。
それから実はもう一人いるんだけど、そいつはオレの師匠とはまた違う人間で、レキの師匠に当たる人。
その人は、レキ馬鹿。いや、変態。
「おやおやー? これはこれは久しい子達が来てるんだねー」
声の調子は普通の人とそう変わりはしないのに、変態なコイツの名前は、毒華=キョウ。
詠歌師【神威】の位を持ってるらしいけど、詠歌師っていう職業って本当にあったっけ・・・?
まあいいや。
変態キョウはレキ達の喧嘩を止めて、二人を引きずりながら家の中へ入って行った。
それをオレは追いかける。

「離せ! 僕は荷物じゃないっ!!」
「変態菌が移る!! レキ、もっと暴れろ!!」
「サライが暴れてよ!!」
僕とサライは、キョウに引きずられて家の中へ入り、すぐにキョウは僕達を離して、広いリビングにあるソファに腰を掛けて、その隣にリョクが座ってた。
リョク、馬鹿だから危ないことに気づいてないのかな。
床に座ってる僕達は二人の間に入った。
「ちょっとサライ、何で俺とレキの間に入るのかなー?」
「テメェが変態だからだろ!!!」
「うわっ、失礼だねー。俺は変態じゃないよねー、レキ」
貴方は変態です。とでも答えたらいいわけもなく、流しておいた。
「サライ、僕達の部屋ってあのまま?」
「おう。荷物置きに行くか?」
「うん。行こう、リョク」
「んおぅ」
僕達三人はキョウをリビングに残して二階への階段をのぼっていく。
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