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馬鹿リョクの罰ゲームに指摘したとは言えど、執事さんが僕の祖父の左翼だったなんて思ってもみなかったから吃驚したよ。
これはもうリョクの罰ゲーム所じゃないね!!
僕は執事さんに、僕の口から改めて問う。
「・・・貴方の名前は何ですか?」
執事さんは、ニッコリと微笑む。
今まで執事さんは、僕に対して柔らかな笑顔を向けてくれなかったのに、どうして今日に限ってそんな笑顔を見せてくれたの?
それはリョクが貴方の名前を聞いたから?
僕はリョクを僕の傍に来るように手招きした。
すると執事さんは、それを待っていたかのように口を開いた。
「私めの名前は、忠告=アドと申します」
忠告=アド。
昔、僕の祖父から聞いた事があった様な・・そんな名前の様な気もしなくはないね。
でも名前を聞かれたからって、多分僕は「執事さん」という名称で彼を呼ぶだろう。
だって昔からそうだったから、今更ってカンジもするし。
「私めの名前を教えましたので、仁義=リョク様の本名もお教え頂くと嬉しく存じます」
執事さんは僕の右隣で座ってるリョクに言葉を掛けたけど、リョクは僕の影に隠れようとする。
僕は執事さんに頭を下げる。
「すいません。リョクの本名は明かせないんです」
「そうですか。では、そろそろ私めは掃除に戻らせて頂きます」
執事さんは僕の左隣から離れて家の中へ入っていく。
僕は右隣で怯えた様な身振りをしているリョクの頭をそっと撫でてあげて、パソコンの画面に目を移すけど、リョクは今にも泣きそうな顔で僕を見てる。
「ぅ~・・・れきぃ~」
仕方なくパソコンの画面から目を離して、リョクの顔を窺うと、ボロボロ涙流してた。
あーあー。
「何々、そんなに名前聞かれるのが怖かったの?」
リョクは本当の名前を聞かれるのを嫌う。
というか、本人曰く怖いらしい。
もし、聞いてきた相手が昔の自分の事を知っていると何を言われるか分からないからだとかで。
「大丈夫だよ。誰も聞かないから。もし、そんな奴がいたら僕がブッ飛ばしてあげるから。ね?」
泣き止まないリョクの頭を優しく撫でてあげている僕は空いている片手で、パソコンの電源を落とす。
そしてリョクが落ち着くのを待って、僕は手を引いて家の中へ入った。
そこには、いやらしい目付きで僕達を見てるロキと母さんがいた。
だから僕はリョクを洗面所に押し入れてドアを閉めた。
「・・レキ?」
「顔洗えたら、昼ご飯食べに行くよ!!」
そう言って僕は洗面所のドアから離れ、自室から財布を取り、ロキから車のキーを貸してもらい、内玄関でリョクを待つ。
そこへ執事さんが来た。
「レキ様。これをリョク様へお渡し下さいませ」
僕は執事さんから指輪を受け取る。
ただそれは二つ。
「先ほど、ご無礼を働きましたのでそのお詫びです」
「分かった。渡しておくよ」
執事さんは、用件を述べてリビングの方へ行くと、入れ違いにリョクが少し慌てながら来た。
そのリョクに指輪を一つ渡す。
「何だコレ?」
「執事さんからお詫びだってさ。二つ貰ったから、一つは僕が貰うね」
リョクはまじまじと指輪を見る。
「・・・失くすかも」
ああ、確かにキミなら失くすかもしれないね。
「ならネックレスにすればいいんじゃないの?」
「そうか・・その手があんのか・・」
うわ・・本当に馬鹿?
ともかくとして僕は車庫から車を出して、それに乗る。
もちろんリョクも。
若干リョクの顔が引き攣ってるのは気にしないでおこう。
僕は車のエンジンを掛けて、車を発進させた。


【夢追い人 第十三話 執事さん End】
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「じゃあ、行ってくる」
「えーやだやだー」
・・・。
「黙れ変態」
短い旅の支度を済ませた僕とリョクは、光が当たって凄く眩しい家の外門で、母さんと変態ロキと話してる。
にしても、本当にロキは実の父とは認めたくない程に気持ちが悪い。
「早ければ明日には帰ってくるから、次の用意頼んでもいいよね、母さん」
「それは殺し屋四代目当主としての言葉?」
その返答に僕は
「・・・あぁ」
とだけ言って、バイクに跨ってエンジンを掛けた。
そのエンジン音が閑静な住宅街に響き、僕達はセントラル国南ゲートへバイクを走らせ、スムーズにゲートを通過して、そのまま南へ進む。
向かう先は、イズクァール国。
今回は、殺し屋四代目当主、推古=レキとして仕事でこっちへ来てる。
というのも、何故か僕が賞金首になってるとか何とかで。
今までもそんな事は多かったけど、今回は訳が違う。
僕を賞金首に掛けた奴等が、「夢喰い人」に関わっているらしいから、それを調べるべくためにイズクァール国へ向かう。
そんな僕にリョクは勝手にくっついて来た。
「危ないから家で待ってて」と言ったのに、関わらず「行くー!!」と言って聞かなかった。
まあ、来てくれるなら、それ相応な事はしてくれないと駄目だよ馬鹿リョク。
「なあレキ!今オレが馬鹿だとか考えたろ!!!!!」
バイクの音に紛れながら、リョクが叫んでいる声が聞こえた。
「誰がリョクの事を馬鹿だなんて言うのさ」
僕はバイクの音に紛れる様に答えを返して小さな声で「本当に馬鹿」と言った。


そうして三時間掛けて着いたイズクァール国は静かなものだった。
数年前着た時よりも静かになってる。
これは、僕が賞金首になった事と関係してるのかな。
なんて思ってると、右前方から僕のバイクを狙って銃弾が二発飛んで来た。
それを軽く交わした僕は、リョクに適当な店へ入るように指示をしてバイクのエンジンを止めた。
目を閉じて静かに二二口径自動式銃「雪の人」をホルスターから抜いて、目を開いた。
「隠れてないで出といでよ。相手になってあげるから♪」
僕は誰もいない通りに語る。
すると脇道から数十人が姿を見せてくれた。
僕の賞金は一億ジェリー。
もう少し高くしてくれるなら嬉しいけど、その値段はちょっと失礼になるんじゃないのかな。
僕は全世界の裏社会の頂点に君臨する推古=レキなんだからね。
まあ、キチンと相手になってあげる。
そして全員綺麗に殺して見せてあげる。
ニッコリと笑った僕は素早く彼等の後ろ側へ回って、まず銃弾で五人の急所を突いて、新しい銃弾を装填させて今度は前へ回る。
一旦「雪の人」をホルスターに仕舞って、今度は短刀「血塊」のうちの一刀を投げる。
短刀の刃は、まだ生きてる彼等の横を通り抜ける様に飛び、その方向へ僕は走る。
唖然としている彼等の喉をもう一方の短刀で鋭く切って、真っ直ぐに飛んでいた短刀を素早く掴んでケースに入れ、もう一度「雪の人」のグリップを握る。
その行動を起こすと、なんとか立っていた者が地面へ倒れた。
銃口を地面へ向けたままで、僕は地面へ伏している一人の背に足を乗せる。
「死ぬ前に俺へ言う事があるよなあ?」
僕に踏まれる人間は、血を地面へと染み込ませている。
虫の息でいる人間は、僕の事を見ずに
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・殺せ・・ころ・・・せ」
蚊の鳴く様な声を上げた。
それが、僕に言う事なんだね。
「望み通り殺してやる」
僕は「雪の人」の銃口を踏んでいる人間の後頭部へ向け、引き金を引いた。
放たれた銃弾は短い距離を飛んだ。
銃弾は、足元の人間の脳天を貫いて命を奪った。
僕は死人から足を退かし、腹を蹴り上げてリョクが入った店へ入る。
店の中でリョクは僕を待っていた。
ただリョクの目が鮮血の色へと変わっていた。
いつもの紅の色じゃなく、鮮血の色。
僕はリョクの肩を一度叩き、
「・・残り二十人くらいだ」
小声で言った。
リョクは手にしていた二刀を僕に渡し、
「そうですか・・・・・では皆殺しで宜しいのですね・・・?」
普段見ない顔で言い、店を出た。
止められるなら止めておきたかったけど、中途半端に言葉を差した所で、僕が殺されたら終わり。
何故なら店を出て行ったリョクは、仁義=リョクではなくなっているから。
彼女の名は―・・
哀=サラ。


店を出て向かう先は、単なる道。
いいえ・・・その道は死の道とさせましょう。
現実の世界に不似合いな死世界の門を開ける事を許された唯一の職業である反魂士の神威である私は、私の肉体へ向かい飛んでくる銃弾などから一切逃れない。
それは私が反魂士であるからです。
私は、哀=サラです。
全ての銃弾は私の眼前で動きを止め、地面へ落ちました。
決して人間の耳では聞き取る事が出来ない言葉を口ずさみます。
それが緩やかに空気へ沁み込ませてゆきます。
すると空間に巨大な扉が出現し、その扉が不気味な音を立てながら開き、そこから無数の魂魄が飛び出して来ました。
無数の魂魄は、現実の世界に妬みや恨みを抱えている者のもの。
それらは一度私の周りへ集まり、扉は音を立てゆっくりと閉まり、門は消えた。
無数の魂魄は私が口ずさむ言葉を聞き取り、それぞれの意思で様々な方向へ向かい、奇怪な音や声を上げながら人間の魂を奪い取ってゆきます。
そして全ての人間を殺し終えると、私の元へ帰り、私の言葉を聞き消滅しました。
そんな私の肩をレキ様が一度叩き
「戻れ馬鹿サラ」
少々気を荒立てている様に言われました。
私は意識を深い場所へ託しました。


意識を深い場所へ沈めたサラは、リョクへ戻る。
まるでそう・・暗示が掛かった様に。
全身を震わせているリョクの瞳を見た僕は、瞳の色が戻っている事を確認して、腕を引いた。
「此処へ来る時に、通った大きな国の国防連合軍警視庁へ行く?」
リョクは無言で頷いた。
「向こうに着いたら、僕の知り合いだと言えばいいから。じゃあ後でね」
僕はリョクに背を向けた。
そうするとリョクは僕の服をクイッと引っ張った。
「レキ・・は・・・・?」
「話をつけて帰りたいだけだよ」
背を向けたまま言う僕にリョクは突っかかる。
「嘘だ!!!!殺してくるんだろ!!!!?」
僕は溜息をついて言葉を切り出す。
「あんまり五月蝿くするとお前から殺すぞサラ」
「!!!?」
リョクは僕から半歩下がる。
「俺が誰だか分かってんならさっさと行け」
「う、あ・・」
「失せろっつってんだろうが!!!!!!!!!!!!!」
リョクは急いでバイクに乗り、イズクァール国からケーストルア国へ向かった。
ごめんね、リョク。
でも此処から先は本当に僕だけで行きたいんだ。
だから強く当たっただけだよ。
リョクがいなくなった道で、僕はリョクが持って行くはずだった二刀を左手で持ち、最後の一人の元へ向かう。
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