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今にも崩れそうな宿屋に、眩い光りが差し込み、外から漏れてくる小鳥達のサエズリが、寝台ですやすやと眠る僕の耳へ届く。それとは真逆なまでに、身体が暑い。一人用の寝台に、無理矢理二人で寝ているせいもあるのだろうが、僕は抱き枕状態に陥っている。
僕の身体を包む以外に細い腕を振り切って床へ転がり落ちると、ひんやりしていて心地良い。
「むにゃむにゃ・・・」
寝台には、まだ心地良さ気に眠るリョクが寝言を言っている。
僕は、着替えを済ませてからリョクをベッドから引き摺り下ろした。
それでも、起きようとせず、土の中で蠢く芋虫の動作を繰り返している奴は、心底気持ちが悪い。
「・・・・・お・・き・・ろ・・ボケエエエッ!!!!!」
僕は、叫び散らしながらリョクを壁へと蹴っ飛ばした。すると目をパチパチと動かせながら、むくりとリョクは起き上がって、もそもそと着替えを始めた。
「・・・・下で待ってるから」
「・・・・別に見ても減らんて」
「・・・・誰が見るか」
「・・・・そう?」
「・・・・そう」
他愛も無い会話を終了させて、荷物を持って部屋を出た。ミシッ・・ミシッ・・というヤバイ音をたてる階段をゆっくりと下りると、宿屋の主人が僕を迎えてくれいるはずもなく、代わりにリョクとは正反対と確実に断言出来るほどに清楚で可愛らしい1人の少女が僕を待ち受けていた。
彼女は、僕の背格好をじっくりと見て
「女の方ですか・・・?」
ええ、そうです・・・って誰が答えるかあああっ!!!
僕は即座に
「よく間違えられます」
とだけ言うと、彼女は「ああっ」と言って下を向いてしまった。
「顔をあげてください」というジェスチャーを送ると、少しだけ上を向いて、あらぬ方向を一瞬かすめ、また僕の顔をじっと見つめてくる。
「夢を・・・夢を・・・・・追いかけるのは・・・駄目・・です」
小さな声だったから、よく聞き取れなかったから、もう一度聞こうとしたら彼女は目の前から姿を消していた。そこへ、欠伸をしながらリョクが現れた。
「なぁ、朝飯はー?」
「食べに行こう」
「おう」
僕達は宿屋を後にして、朝市が行われている通りへ急いだ。このムルタという町の朝市は、活気があって色々な物を売っていて、活用出来そうなものが溢れかえっている。適当な価格の物資を売る店を探し当て、適当な朝食を取り、非常食を買うため露天へ向かった。
「弾薬ありますか?」
「あるけど、もう少し先にある店の方が安くて品もいいよ!」
「あの・・・そんな事言っても大丈夫ですか?」
「ああ!!」
並以上に親切な店の主人に教えられた店へ着いた時、僕の後ろにいるはずのリョクがいなくなっていた。あの阿呆、また一人でどこか行ったな。
弾薬等を必要な分だけ買い揃え、店から出ると、正面にある美しい教会のドアの所に立っているリョクが神父らしき人物と話している。
僕もそこへ行こうとした。けれど、それは今朝宿屋で出逢った少女が前に立ちはだかって・・・。
「いけませんっ!!!」
あまりにも大きな声だったために、周りを歩いていた民間人が僕を睨んできた。このままの状態を引き伸ばすのは、自分的に嫌だ。
仕方なく、僕は少女の手を引いてリョクのいる教会へ走った。すると、阿呆リョクが僕を見て
「お前、ロリコン?」
とフザケタ単語を言った。
「五月蝿いよ、リョク」
「じゃあ、ソイツお前の何だよ」
「僕だって知らないよ!!!」
ぎゃあぎゃあ言い合いを始めようとする僕達を制したのは、他でもない
「私は、千里=ユメと申します!!!!喧嘩は止めて下さい!!!」
少女だった。そして彼女の名前は、ユメ。何か、色々ありそうだなぁ・・・・この子。そんな彼女に巻き込まれるだろう僕もどうかと思うよね・・・。
「とにかく、ついて来てください!!!」
「え、あ、うん?」
僕とリョクは、少女について行く事となった。
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