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「じゃあ、行ってくる」
「えーやだやだー」
・・・。
「黙れ変態」
短い旅の支度を済ませた僕とリョクは、光が当たって凄く眩しい家の外門で、母さんと変態ロキと話してる。
にしても、本当にロキは実の父とは認めたくない程に気持ちが悪い。
「早ければ明日には帰ってくるから、次の用意頼んでもいいよね、母さん」
「それは殺し屋四代目当主としての言葉?」
その返答に僕は
「・・・あぁ」
とだけ言って、バイクに跨ってエンジンを掛けた。
そのエンジン音が閑静な住宅街に響き、僕達はセントラル国南ゲートへバイクを走らせ、スムーズにゲートを通過して、そのまま南へ進む。
向かう先は、イズクァール国。
今回は、殺し屋四代目当主、推古=レキとして仕事でこっちへ来てる。
というのも、何故か僕が賞金首になってるとか何とかで。
今までもそんな事は多かったけど、今回は訳が違う。
僕を賞金首に掛けた奴等が、「夢喰い人」に関わっているらしいから、それを調べるべくためにイズクァール国へ向かう。
そんな僕にリョクは勝手にくっついて来た。
「危ないから家で待ってて」と言ったのに、関わらず「行くー!!」と言って聞かなかった。
まあ、来てくれるなら、それ相応な事はしてくれないと駄目だよ馬鹿リョク。
「なあレキ!今オレが馬鹿だとか考えたろ!!!!!」
バイクの音に紛れながら、リョクが叫んでいる声が聞こえた。
「誰がリョクの事を馬鹿だなんて言うのさ」
僕はバイクの音に紛れる様に答えを返して小さな声で「本当に馬鹿」と言った。


そうして三時間掛けて着いたイズクァール国は静かなものだった。
数年前着た時よりも静かになってる。
これは、僕が賞金首になった事と関係してるのかな。
なんて思ってると、右前方から僕のバイクを狙って銃弾が二発飛んで来た。
それを軽く交わした僕は、リョクに適当な店へ入るように指示をしてバイクのエンジンを止めた。
目を閉じて静かに二二口径自動式銃「雪の人」をホルスターから抜いて、目を開いた。
「隠れてないで出といでよ。相手になってあげるから♪」
僕は誰もいない通りに語る。
すると脇道から数十人が姿を見せてくれた。
僕の賞金は一億ジェリー。
もう少し高くしてくれるなら嬉しいけど、その値段はちょっと失礼になるんじゃないのかな。
僕は全世界の裏社会の頂点に君臨する推古=レキなんだからね。
まあ、キチンと相手になってあげる。
そして全員綺麗に殺して見せてあげる。
ニッコリと笑った僕は素早く彼等の後ろ側へ回って、まず銃弾で五人の急所を突いて、新しい銃弾を装填させて今度は前へ回る。
一旦「雪の人」をホルスターに仕舞って、今度は短刀「血塊」のうちの一刀を投げる。
短刀の刃は、まだ生きてる彼等の横を通り抜ける様に飛び、その方向へ僕は走る。
唖然としている彼等の喉をもう一方の短刀で鋭く切って、真っ直ぐに飛んでいた短刀を素早く掴んでケースに入れ、もう一度「雪の人」のグリップを握る。
その行動を起こすと、なんとか立っていた者が地面へ倒れた。
銃口を地面へ向けたままで、僕は地面へ伏している一人の背に足を乗せる。
「死ぬ前に俺へ言う事があるよなあ?」
僕に踏まれる人間は、血を地面へと染み込ませている。
虫の息でいる人間は、僕の事を見ずに
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・殺せ・・ころ・・・せ」
蚊の鳴く様な声を上げた。
それが、僕に言う事なんだね。
「望み通り殺してやる」
僕は「雪の人」の銃口を踏んでいる人間の後頭部へ向け、引き金を引いた。
放たれた銃弾は短い距離を飛んだ。
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銃弾は、足元の人間の脳天を貫いて命を奪った。
僕は死人から足を退かし、腹を蹴り上げてリョクが入った店へ入る。
店の中でリョクは僕を待っていた。
ただリョクの目が鮮血の色へと変わっていた。
いつもの紅の色じゃなく、鮮血の色。
僕はリョクの肩を一度叩き、
「・・残り二十人くらいだ」
小声で言った。
リョクは手にしていた二刀を僕に渡し、
「そうですか・・・・・では皆殺しで宜しいのですね・・・?」
普段見ない顔で言い、店を出た。
止められるなら止めておきたかったけど、中途半端に言葉を差した所で、僕が殺されたら終わり。
何故なら店を出て行ったリョクは、仁義=リョクではなくなっているから。
彼女の名は―・・
哀=サラ。


店を出て向かう先は、単なる道。
いいえ・・・その道は死の道とさせましょう。
現実の世界に不似合いな死世界の門を開ける事を許された唯一の職業である反魂士の神威である私は、私の肉体へ向かい飛んでくる銃弾などから一切逃れない。
それは私が反魂士であるからです。
私は、哀=サラです。
全ての銃弾は私の眼前で動きを止め、地面へ落ちました。
決して人間の耳では聞き取る事が出来ない言葉を口ずさみます。
それが緩やかに空気へ沁み込ませてゆきます。
すると空間に巨大な扉が出現し、その扉が不気味な音を立てながら開き、そこから無数の魂魄が飛び出して来ました。
無数の魂魄は、現実の世界に妬みや恨みを抱えている者のもの。
それらは一度私の周りへ集まり、扉は音を立てゆっくりと閉まり、門は消えた。
無数の魂魄は私が口ずさむ言葉を聞き取り、それぞれの意思で様々な方向へ向かい、奇怪な音や声を上げながら人間の魂を奪い取ってゆきます。
そして全ての人間を殺し終えると、私の元へ帰り、私の言葉を聞き消滅しました。
そんな私の肩をレキ様が一度叩き
「戻れ馬鹿サラ」
少々気を荒立てている様に言われました。
私は意識を深い場所へ託しました。


意識を深い場所へ沈めたサラは、リョクへ戻る。
まるでそう・・暗示が掛かった様に。
全身を震わせているリョクの瞳を見た僕は、瞳の色が戻っている事を確認して、腕を引いた。
「此処へ来る時に、通った大きな国の国防連合軍警視庁へ行く?」
リョクは無言で頷いた。
「向こうに着いたら、僕の知り合いだと言えばいいから。じゃあ後でね」
僕はリョクに背を向けた。
そうするとリョクは僕の服をクイッと引っ張った。
「レキ・・は・・・・?」
「話をつけて帰りたいだけだよ」
背を向けたまま言う僕にリョクは突っかかる。
「嘘だ!!!!殺してくるんだろ!!!!?」
僕は溜息をついて言葉を切り出す。
「あんまり五月蝿くするとお前から殺すぞサラ」
「!!!?」
リョクは僕から半歩下がる。
「俺が誰だか分かってんならさっさと行け」
「う、あ・・」
「失せろっつってんだろうが!!!!!!!!!!!!!」
リョクは急いでバイクに乗り、イズクァール国からケーストルア国へ向かった。
ごめんね、リョク。
でも此処から先は本当に僕だけで行きたいんだ。
だから強く当たっただけだよ。
リョクがいなくなった道で、僕はリョクが持って行くはずだった二刀を左手で持ち、最後の一人の元へ向かう。
ただ進んでいく途中で僕の足を止める奴等が集まってくる。
仕方なく名刀「水神」を鞘から引き抜いて、刃を向かい来る相手へ向け、切り殺し鞘へ戻す。
右腕や顔には返り血が僕を殺し屋の頃の僕へと戻していく。
それが心をどんどんと落ち着けさせていく。
そうして着いた場所は、普通の一軒屋。
物音一つ立てず家の中へ入ると、一人の男が必死に小型ノートパソコンの画面に向かっていた。
それを背後からじっと見つめる。
その画面には「夢喰い人」の情報が書き込まれていた。
この情報は手にいれておくべきだと考えた僕は静かに息を吐く。
その呼吸が聞こえた相手は振り返り、僕を見た。
驚きを隠せない顔には、恐怖がはっきりと窺えた。
「その情報、僕に売ってくれない?」
「むっ・・無理だ!!」
それは残念だけど、その返答が帰って来るのは分かってるから今度は違う質問してあげるね。
「じゃあ貴方を殺してもいいですか?」
「そっ・・・・・それは・・・」
男はパソコンから目を落とした。
その一瞬を僕は逃さなかった。
もう一度「水神」を鞘から引き抜き、男の首を刎ねた。
床にゴロゴロと転がった首を無視して、両腕を削ぎ落とす。
そこで男の身体を椅子から蹴り落とし、両足をも落としてやった。
僕はバラバラになった死体を見下ろして溜息をついた。
でもすぐに「水神」を鞘へ戻し、ノートパソコンを血が付着した右手で持って家を出る。
そこには新手の奴等が待っていた。
それぞれに武器を持ち、それの先をこちらへ向けて奇怪な顔で笑ってる。
ねえ、そんな顔向けてたら瞬間的に命落としても知らないよ。
小さく舌打ちした僕はノートパソコンを空へ高く上げて、「雪の人」を右手に収めて、銃弾を周囲を囲む全員の急所に撃ち込んだ。
鮮血を噴出して地面に倒れていく奴等を見つつ、「雪の人」をホルスターに仕舞い、ノートパソコンを上手くキャッチする。
そうして最後は、バイクに乗って一言。
「僕みたいな夢追い人は、殺し屋っていう職業で生きた方がいいかもしれないね。お前等みたいな奴等が寄って来るから♪」
さて、先にケーストルア国へ向かったはずのリョクを追いかけますか。
でもそれより何より、本当なら顔とか手に付着した血を洗い流したいんだけどなあ・・・。
まあ、それはそうしておくとして早いとこ戻らないと怒られかねないからね。
そう考えた僕はバイクの速さを最高速度まで上げた。


【夢追い人 第十四話 賞金首 End】
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